ヘスパウスの掛け声と共に、電子の音が響き渡る。
明るいロック調の曲だ―――ステージが光り輝いている。

目が覚めて始まる今日、眩しい一日。
キラキラと輝くキセキ溢れているよ
一番大切なモノ、どこにあるの?探しに行こう!
きっと見つかるはずよ、不可能なんて無い!

見つけてperfect☆dreamほら!
あなたにも私にもあるはずよ
探してperfect☆dreamほら!
諦めなければ大丈夫

明日はどんな日になるかな?今は
解らないけれど、きっとあなたとならば
最高な日になるはずよ、もうすぐそこにある
一番大切なモノ、見えてるでしょ?掴んで!

揺ぎ無いperfect☆dreamほら!
あなたにもあったでしょう?
素晴らしいperfect☆dreamほら!
一番大切な夢のカケラが

見つけてperfect☆dreamほら!
あなたにも私にもあるはずよ
探してperfect☆dreamほら!
諦めなければ大丈夫
揺ぎ無いperfect☆dreamほら!
あなたにもあったでしょう?
素晴らしいperfect☆dreamほら!
一番大切な夢のカケラが

Yes!perfect☆dream…ohYes!

楽しそうに歌え終えたヘスパウスは、右の手を天に掲げている。
彼女の歌を聴いた兵士達は地面に伏し、ピクリとも動かない。
「ふっふっふ・・・どうっすか!恐れ入ったかっす!」
腰に手を当てて踏ん反り返っている。
しかし、今の歌で倒れた兵士はせいぜい半数程度だ。
残った兵士達がヘスパウスの様子を覗っている。
「うぅ〜〜まだあんなに居たっすか・・・。」
ガックリと肩を落とす―――しかしすぐに立ち直る。
「しゃーないっす!次の曲いくっすよ!!」
再びギターを構えなおすと、ステージがガラリと変わった。
明るくポップだったステージが、少し大人しい雰囲気になっている。

「二曲目いくっす!
 “願いは星に”!」














「私は最初から、ルシアさんを獄に繋ぐ事に反対しておりました。」
ティアナは静かに語りだす、ルシフェルは黙って聞く事にした。
「嘘だとお思いでしょうね・・・ですが、本当です。私は
 反対したのです、ですが上のお二人がどうしても獄に
 繋がねばならないと仰るので・・・・断れなくて・・・・
 本当に申し訳ないことをしていると思いますわ。あの方は
 とても気高く、お強い方です・・・貴方にお似合いですわ
 ここで囚われているべき方では無い、そう思います・・・。
 けれど、彼女が禁忌を犯した事も事実です・・・その事は
 消しようの無い過去です・・・それに、彼女は人間ですわ。
 “失望の楽園”で生きていけるとは思えません・・・ですが
 それを理解出来ないサタンでは無いでしょうから、サタンが
 容赦したというのならば・・・覚悟はあるのでしょう、きっと。」
募るような言葉―――まるで、そう信じたいとでも言うような。
ティアナが言い終わって、数秒間沈黙が流れた。
突如、ルシフェルを縛っていた不可視の圧力が失せた。
ルシフェルは驚きの表情でティアナを見やる。

「行きなさい」

短く、凛とした声音で言う。
「私は何も見ていません、侵入者など知りません。
 理解したなら、早く彼女の所へ行ってあげなさい。」
そう言い終わると巨大庭園から去って行く。
ルシフェルは戸惑う、見逃す理由が解らなかった。
「聞こえませんでしたか?ルシフェル・ディルフェルドル。」
月夜に照らし出された黒髪が、美しく流れ、靡く。
「早く行かないと、兵士を呼びますわよ。」
その言葉に、ルシフェルは口の片端を吊り上げた。
「贖罪のつもりか?売女」
ルシフェルの鋭い言葉に、ティアナは答えない。
庭園の木々が揺れる音だけが、二人の間に流れる。
「・・・フン、感謝などせぬぞ。」
ルシフェルはそう言い残すと勢い良く走り出した。
















ねぇ、愛しい人、アナタは何処?
傍に居ないだけでも苦しいのに
長い間会えないだけでも辛いのに
ワタシとは違う人を愛しているなんて
嘘でしょう?どうか違うと言って。

ねぇ、愛する人、アナタは何処?
届かない場所に行ってしまった
こんなに遠く離れていてもワタシの
想いは変わらないのに、どうして他の
誰かと一緒に居るの?本当の事を言って!

願いは星になって、アナタに届けばいい。
けどワタシの想いは儚くってちっぽけで
とてもアナタへ届いてはくれないの

願いは星になって、アナタに届けばいい。
けどワタシの想いは切なくって壊れかけ
とてもアナタへ届けれるモノじゃないの

ねぇ、愛しい人、アナタは何処?
どうして此処に居ないの?・・・ねぇ
涙流して待っていても、ちっとも会いに
来てくれない・・・嘘つきな人ね!嫌いよ!

願いは星になって、アナタに届けばいい。
けどワタシの想いは儚くってちっぽけで
とてもアナタへ届いてはくれないの

願いは星になって、アナタに届けばいい。
けどワタシの想いは切なくって壊れかけ
とてもアナタへ届けれるモノじゃないの

願いは星になって、アナタに届くなら
とても簡単でとても単純にすむのに・・・。

泣かしげな雰囲気の曲―――同じロック調でも
随分と違った印象を受ける、ヘスパウスははぁはぁと
息を切らしていた。立て続けに二曲も歌って、流石に
疲れているのだろう―――しかし、兵士の数はまだ
たくさん居る。というか、いくら倒しても次々に新しい
兵士が来ているのだ―――これではキリがない。
「ぐぬぬぬぬ・・・おにょれぇぇぇっす」
拳を振るわせ、奥歯を噛み締める。
「えぇぇぇい!次っす!次の曲っすー!!」
半分ヤケになりながらギターを構えなおす。

「三曲目っす!いくっすよぉぉ
 “Blue Sky butterfly”!!」






          





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